【ザワネタバレ】轟洋介の「呪縛」からの解放と成長

※10月4日公開HiGH&LOW THE WORSTのネタバレを含みます。一切の配慮無しです。また記憶違いもあると思います。投稿時間から分かるとおり試写会帰宅即打ち込んでいるので文章の甘さについては多めに見てください。

 

 

 

 

 

sdppp.hateblo.jp

ハイローハマって20日足らずの転入生です。轟くんに負けじとあっという間に最新作に追い付きました。映画館の椅子でも4時間(ライブ込み)は流石にキツいですね。2nd全国立海か?

 

 

 

さて轟洋介。

 

彼のシーンは鬼邪高の体育館で村山に再度タイマンを挑むところから始まります。ザワで全日の内部のゴタゴタには(表面上では)目もくれなかった彼は、相変わらず村山ただ一人に執着し続けています。役者のまえだくん曰く実質「ラブコール」。しかし彼は再び村山に敗れ、それどころか前回より酷いことに左目を負傷します。そうです。あの眼帯。他の誰でもなく村山によって付けられたものだったのです。毎日鏡と向き合う度に嫌でも見せつけられる傷の跡。執着は更に募っていったかもしれません。じくじくと痛みを感じる度に、それは一種の勲章だと思っていたかもしれません。兎に角この左目の傷は、ただでさえ意識せざるを得ない村山の存在を轟洋介の身体に深く刻み込むものだったのです。

 

次のシーンは鬼邪高のアタマの村山が全日の各一派を体育館に呼び出すシーン。ここで全日の誰もが轟の左目は村山によるもの、つまり轟がまたしても勝手に定時に乗り込んだことを知ります。当の本人も相変わらず「なぁ村山ァ!」と自分に傷を付けたただ一人に対して声を荒げます。『アタマのための君主論』を読んだり色々形から入ろうとはしているものの、根本的な部分は何も変わっていません。そこで村山さんからの一言。アイツはお前には無いものを持ってるかもな。

ところでこのシーン。一度轟の横を通り過ぎた村山が轟の肩を組み、彼の思わぬ行動に驚いた轟は思わず後ずさる訳ですが、これって完全に村山に対して油断している・信用していることの表われなんですよね。だってあの轟がそう簡単に人に肩組ませると思いますか? しかも天敵としている村山。もう完全に村山の存在は轟洋介の内側にも入り切ってしまっているのです。また、「信用している」と書きましたが「信頼」はしていない、できていないと思います。何故なら彼は誰のことも頼っていないから。村山ですらも。しかし轟洋介の内側に入り切った村山の言葉はしっかりと彼の心に染み入っていくのです。

 

左目が治るまでおそらく大人しくしていただろう轟*1を一番に迎えたのは楓士雄でした。楓士雄は「(左目が治ったらタイマンする)一番の予約取ってたから」と言いますがその気は無く、本当の用事は鳳仙との決闘の助太刀でした。「アタマ狙ってるんじゃないのか」「そんな奴が人を頼るのか」と一蹴しようとする轟。ごめん本当に轟くんしか見てないから楓士雄ちゃんがなんて返したのかイマイチ覚えてないんだけど、楓士雄が何度やっても倒せなかった空き缶を轟は一発で倒します。劇中でも散々言われているとおり、これは強さが「轟>楓士雄」の表われです。また、余談ですが轟は「努力型」だと思う方が多いと思いますが、空き缶倒しを一発で遣って退けるのは流石に「才能」が無ければできないと思います。つまり轟洋介は元々素質があったのです。素質がある子が努力をしたらどうなりますか? 最強です。つまり轟洋介は最強。

閑話休題。楓士雄に「頼られた」轟は「足を引っ張んじゃねえぞ」と言い、共同戦線を組むことに同意します。ここに轟の成長が見られます。ザワOで全日のモブが八木高にやられた時、彼は頼られたにもかかわらず何も言わずその場を立ち去ります。そして独りで八木高に乗り込もうとしました(そこに辻と芝マンが現れる訳ですが)。まえだくんが言う「1人で戦うことに後ろめたさは感じていないっていう轟の闇」*2です。しかしザワ本編では楓士雄に助太刀することになります。他人の手を取ることを覚えたのです。左目の傷が癒えたと同時に、彼は村山の呪縛から少しずつ解かれていくのです。

 

村山の呪縛。村山本人にその気は一切ありませんが、始めは「SWORDのテッペン獲んだよ」と言っていた轟はすっかり村山に囚われ、SWORDや鬼邪高よりも村山村山、「格下には興味無え」と言い放ち当の村山に説教されるも相変わらず村山(ザワでのタイマン)に拘り続けています。そして負った左目の傷。これは村山からの「楔」のようなものだったのではないかと思います。当然村山本人にその気は一切ありませんが。怪我を負い大人しくしている間、轟は色んなことを考えたと思います。村山のこと。鬼邪高のこと。村山のこと。鳳仙のこと。レッドラムのこと。村山が言い残した楓士雄のこと。傷が少しずつ癒えていくうちに、彼の中で何かしらの変化が起こったから、病院を後にし眼帯を外した轟は楓士雄から差し出された手を受け取るのです。

 

そしてやってきた鳳仙との決闘。ここで先陣を切るのはトレーラーでも分かるとおり楓士雄、そしてその脇には轟や他の鬼邪高全日生徒たち。これ、轟にとっては初めて自分の方からOKを出した「共闘」*3です。八木高の時は、辻と芝マンを見て静かに笑うだけで歓迎も拒絶もしていませんから。守るための戦い、あるいはやられたらやり返すための戦い。敵に「……よく喋るなお前」・「お前もよく喋る!」と言い放ったように、やはり轟は語らない男なのです。だから私たちが轟くんの中に起こった何かしらの変化を知る日はきっと永遠に来ないでしょう。散々争った後、村山率いる鬼邪高定時生徒が乱入し自分たちの本当の敵が今目の前に居る他校ではないことに気付いた彼らは、それぞれ絶望団地に乗り込もうとします。今回は轟くんの話なので鳳仙は省きますが、鬼邪高では楓士雄を中心とした団地メンバー、同じ団地出身の辻・芝マン、楓士雄を慕う中・中一派、泰志をやられた清史たち(彼らも団地メンバーではありますが)、そして最後に「今回はお誘いなしか」「鳳仙の時は泣きついてきたっていうのにな」と自ら共闘に参戦しようとするのが轟洋介です。「1人で戦うことに後ろめたさを感じていな」かった轟は、自ら手を差し伸べることを覚えたのです。轟はついに、そこに村山がいなくても誰かと戦うことを選んだのです。

 

真の悪役集団と戦うところでその才能を遺憾なく発揮する轟くん最高だから皆よく見てね!(訳:バトルについては割愛します)

 

最後に楓士雄と佐智雄がタイマン張るシーン。見守る鬼邪高生の中には轟の姿もあります。佐智雄にギリギリのところでやられた楓士雄に「トップの座はしばらく俺が預かるわ」「鳳仙にやられてないのは俺だけだし」と言いながら、楓士雄の額に轟はデコピンを掲げます。しかしそれが撃たれることはなく、すっと手を開いた轟はやられた楓士雄に肩を貸します。平たい言葉で言えば「仲間」とか「助け合う」とか、そういうことを覚えたのです。しかも轟はあくまでも「トップの座」は預かると言い、自らが全日の「頭(アタマ)」だとは言いませんでした。あくまでも自分が一番ではありますが、頭が固い作中屈指の負けず嫌いも、共に戦った楓士雄や他人を認めることも覚えたのです。村山さんが退学する時にも姿を見せなかったし、成長したね、轟ちゃん。

 

 

 

おしまい! はい帰るよー

*1:ちなみに「今村眼科」から出てきたので轟くんの実家が眼科ではないことが判明しました(轟くんの実家は医者だよ派)

*2:

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*3:ザムで鬼邪高を率いて村山たちの元に現れますが、あれは「共闘」とはまた違うものだと私は考えています。他の奴に村山を倒されてたまるか、そして村山や定時に置いて行かれてたまるかという複雑な感情から来るものであり、純粋な「共闘」ではないと思います