私と「浪費」と服とガチャ

 

だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査

だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査

 

 

図書館で予約したこの本がやっと届いた*1ので、劇団雌猫の過去の書籍をぱらぱらと読み返しながら自分の今年の浪費を振り返る。本題に入るまでの前提が長いので、適宜流し読みしてほしい。

 

 


私は今年の頭にメンヘラの仲間入りを果たした人間だ。症状は「うつ状態」、今でも毎晩元気になるお薬を少々と睡眠薬を飲んでいる。晩冬から初夏の頃は地獄というか「無」のような日々を過ごしていた。初期はひたすら寝るだけ。睡眠欲以外の欲を失い、テレビはテロップや効果音、ワイプなどの情報量が多過ぎて流し見すら苦痛。本も読めず、ただただベッドの中でpixivから刀剣乱舞の二次創作夢漫画を読んでいた。ちなみに原作はプレイしたことがない。少し回復してきた頃になると、NHKの「小さな旅」や「とうちゃこ旅」などの長閑な番組なら見られるようになった。同じような趣かと思い見てみた出川の充電番組は、景色だけならよかったがアイキャッチやテロップが騒がしくてキツかった。本はうつに関する本やはてなブログぐらいなら読めるようになっていた。舞台も事前に手筈を取っていた推しの舞台を観に行ったりはできた。薄ミュ志譚風間篇とてもよかったです。あと推しのバイベで元気をもらったりした。しかし食欲に関しては、「何食べたい?」と訊かれてもうつの本に書いてあったオススメの食品(青魚やほうれんそう、レバーなど)を挙げることしかできなかった。人はそれを食欲とは呼ばない。寝るのにも飽き、ちょっとブログを書いたりもしたがあまりに暇すぎてWOWOWを1ヶ月早く契約*2し、刀ミュの放映を見るもやはり「無」だった。友人に「それその作品が面白くなかっただけじゃね?」と言われたが、今の私が見たら絶対に2.5次元ミュージカルの在り方がどうのこうのと述べ始めるので、この頃の私は割と感情が死んでいた。

 

心療内科で担当医に「暇なんですがどうすればいいですか」と問うたところ、「趣味に勤しむとか、」と言われた私は「趣味……」と唸ってしまった。この頃の私はテニスの王子様に対して煩悶するオタクであり、テニスを自らの「趣味」と開き直れるほどの余裕が無かった。テニスから足を洗うと宣言した後にのめり込んだファッションやコスメも、出かける時に身に付けるものを選び最低限の化粧をするだけで精一杯の日々だった。暗い顔をした私に対して医者は「あとはやはり……(有酸素)運動、ですかね……」と続けた。ちょうど自転車で10分弱のところに24時間営業の簡易ジムがあったので、7月から契約して週2,3回のペースでウォーキングを開始した。これが効果覿面だった。自転車移動(これも有酸素運動)でセロトニン(日光)を浴び、1時間ほどYoutubeや推しの配信番組を見ながら歩く。少しずつペースを上げ、たまにクロスバイクでびっちり汗を流す。なんとなく健やかになっていくのを感じた。そして「趣味」の方も、テニミュの全立前編の特に一幕が面白かったのが救いとなった。昨年の一件からツイートを減らしていた私が勢いよく感想を垂れ流す姿を見た先の友人が、「すどぴが蘇ってる……」とツイートしたのをはっきりと覚えている。テニパの発売を機に私のweb拍手へ駆け込んできたオタクへの記事も上げ、テニパを読みオタクとしての自意識を再確立させ、中規模アンケートを実施できるぐらいには蘇っていた。

 

 


そして私はHiGH&LOWと出会ってしまった。映像コンテンツはジムで有酸素運動をしながら見るのに最適すぎた。9月一日にdTVを契約し、すぐさまジムでseason1の4話まで見た。White RascalsあるいはROCKYさんの意思に惚れ、「俺がオリジナルだ」と第九を流しながらITOKANを荒らす衝撃映像に思わず歩きながら前のめりになり、帰宅して続きを見た。「前にツイッターで見た眼鏡の子(轟洋介)いないんですけど!?」と発狂していたところ、web拍手でハイローを薦めてくださった当人から「彼はseason2から出ます! 7,8話は私も何度も見返しています!」と連絡をいただいたので4日でseason2とザムまで制覇した。season2ではKIZZYちゃんカワイイよ~~~~~女の子に「ブスね~」って言っちゃうところが最高にカワイイと悶えていたらやってきました轟くん。完落ちした。ハマって5日でブログを書いたところテニスで繋がっていたフォロワーのハイロー垢に見つかり、テニスのアンケートをご覧になった方が「この人ハイロー新規じゃん!?」と気付きハイロー垢から捕捉され、各種雑誌を読み漁り、気付いた時にはザワ試写&ランペライブのライビュチケットを取っていた。轟洋介は最強だった。

 

 


ここで漸く「浪費」の話になる。テニモンである私にとって、ザワという映画が1回2時間1200円*3で観られるのはとんでもない価格破壊だった。まあ観ても10回かなあ、それでも1万弱なんだからテニミュ1公演+グッズや交通費などの諸経費か、安いもんだね、なんてことを思っていた。ちなみに私はテニミュ1興行に対し3,4公演+ライビュ1回、チケ代のみなら2万弱使うタイプのテニモンなので、

このツイートを目にした時に「ザワへの感謝も含めてザゲに浮いた1万課金するか」と思ってしまった。オタクは何かと「お金が浮いた」という発想に至るが、その大体は別に浮いたお金でも増えたお金でもなんでもない。しかも私はザワを結局20回観た(=合計2万弱使った/※追記:その後追いザワをキメ横アリ応援上映にも行ったので合計3万弱使ったと思います)ので、お金はとっても減っている。その上ここで「課金」に手を染めてしまったことにより、自分の中で課金へのハードルが下がってしまった。

 

 


~回想開始~

テニラビがリリースされた時、まず音ゲーとしてのクオリティの低さに落胆した。スクフェスデレステミリシタとプレイしてきた私には4ボタンは寂しく、また上スワイプの存在はそれを誤魔化すためのクソノーツだとしか思えなかった。その上曲の中にはタップのタイミングが設定とズレるものがあり、曲が後半に行くにつれてタイミングが遅くなったり早くなったりするものもあった。悲しい哉そんなクソゲーでリリース後2度目の限定ガチャに選抜されたのは、私の大好きな千石清純だった。無償石30連で敗北し、しかしここで逃したら次にいつ復刻するかわからないとコンビニでiTuneカードを手にした。手にしては戻した。戻しては手にして、これが本当に1万するのか、1万円が電子の海に溶けていくのかと思いながら、結局私はそれをレジに突き出した。比喩抜きで目の前が真っ暗になった。他人がいくら課金しようが何とも思わないが、私は私が感じたこのヘドロが止め処なく溢れ出すような感覚を大事にしようと思った。幸い千石さんは有償石10連一回目で来てくれたので、私のテニラビの千石さんのアルバムは今のところ全ページ埋まっている。他のガチャSSRはすべて無償石で入手し、イベント報酬も課金無しでほぼ完凸させている。他ジャンルの友人にまで「なんか(公式の人気投票の上位とは異なる)キャラ贔屓が激しいって聞いたんだけど……」と言われるテニラビに課金したくなさすぎて、無償石を最大3万弱貯めていた時期もあった。地味'S実装時にはお礼として3000円課金したけど、それは「意味のある課金」なのでノーカン。

スマホゲーに課金するのはテニラビが初めてではなかった。モバマスコラボのためにリリース当初からプレイしていたグランブルーファンタジーSSR排出率3%、隙あらば無料10連やSSR排出率2倍(=6%)を繰り出すこのゲームは無課金でも充分楽しめる。楽しませてもらったお礼も含め、数年前の私はとても良い気分で3000円を出し、サプチケを使い水着レ・フィーエちゃんをお招きした。グラブルは数ヶ月やり込んでは半年ほど放置し、といったサイクルでプレイしているが、サプチケなど確実なリターンが見込める時に時折課金していた。グラブルは私にとって「楽しませてくれた」ゲームであり、課金に値する意味がそこにはあった。

~回想終了~

 

 


ザゲはリリース間もないサービスだった。ザワで浮いた(浮いてない)1万を課金したとはいえ、今後私を楽しませてくれる保証は何処にもない。クソゲーとまでは思っていなかったが、状況としてはリリース直後のテニラビとおんなじだ。しかしいつかは轟洋介のガチャが来るだろう。そう思い、先の初手1万の石は半額の初心者ガチャ2種のみに使用し、残りは無償石をちまちま貯めて轟くんのために取っておこうと考えた。鬼邪高(定時)ピックアップガチャも開催されたばかりだし、先にMUGENから琥珀さんや九十九さんが来るだろうと高を括っていた。

 

「PUガチャとか関係ねえ。全キャラ含めてハイローだ」

 

轟一派ガチャはあっさり来てしまった。その上ザゲ初のランキングイベントまで引っ提げて。100位以内に入らなければ轟くんの星5スチルは手に入らない。この時点で私は何故か「課金は10万まで」という謎の制限を設けていた。初手1万課金の所為で、完全にザゲへの課金のハードルが下がっていた。実際には10万の半分も行かずに轟くんは私のスマホに御出座しし、イベントでは課金することなく100位以内に収まった。途中で千石清純の誕生日を挟み、まる一日ザゲをプレイしていなかったにもかかわらず。

(一日放置で10位以内に行けるほど甘くはなかった)

現在【[全日のアタマ]轟洋介】を所持し、且つ彼のメモリアルボードを彼自身のスチルで染められる(=ランキングで100位以内かつガチャの方の星5スチルも入手している)人間は100人いない*4。一日3回はメモリアルボードを見つめてはうっとりしている。

 

 


当記事のガチャへの課金部分だけ読めば、いずれは無に帰すデータ如きに数万払って満悦している哀れな女と思う人もいるだろう。実際そうである。しかし課金した後に、私は私の中に「消費に対する欲求」が残されていたことに気が付き喜んだ。

 

ある程度の元気を取り戻し、テニミュやイベントに足を運ぶようになった私はあることに気が付いた。ファッションやコスメに対する物欲が失せている。見た目に気を遣わなくなったのではなく(服を選んだりメイクをすること自体は楽しい)、既に持っている服や化粧品だけで充分事足りるのだ。最後に服を買ったのは今年の2月だ。シルエットに一目惚れして、しかし試着しなければ恐ろしいフリーサイズのそれをわざわざ福岡から日本橋まで取り寄せてもらい購入した。推しのバイベや、先日のテニミュ大運動会1日目に着ていった。化粧品の方も、1年前は限定品のために昼休み即ダッシュでデパートのコスメカウンターに駆けつけ、休憩終わりにデパコスのショッパーをぶら下げて職場へ戻るなんてこともままあったが、今年のコフレは総スルーしている。つい先ほども久々にベイクルーズの通販サイトや@cosmeのベスコスランキングを覗いたが、「そうなんだ」「可愛いね」と思うだけで以前のような購買意欲が沸き上がらない。それだけじゃない。あれだけ必死に蒐集しフルコンプしていた3rd千石に纏わるグッズも、最新のカラ鉄コラボは「作画が悪い」と不要判定を下した。舞台上の彼が握るそれと同モデルのラケットを所持するぐらいのオタクなのに、明らかに物欲が減少している。そんな中で祈りながら課金した轟くん。きっと今の私にとって、たとえただのデータであろうが轟くんは「とても欲しかったもの」なのだ。月が変わったら課金を再開しようと思っていたガチャの方の星5スチルも、課金することなく無償石11連で来てくれた。そして私は今日も【[全日のアタマ]轟洋介】の轟洋介自身で埋まったメモリアルボードを見つめてはうっとりし、お寿司(親密度を上げるアイテム)が届いたらいっぱい食べてねと笑顔を送るのだ。

 

 

 

 

 

あ、一応言っておくと親金には一切頼っていません。

*1:届く前に書店で立ち読みして内容が同人版「美意識」と大差ないことを確認したので買わなかった。これは過去に購入した「浪費図鑑」にも同じことが言える

*2:テニミュ3rdの一挙放送があるので契約予定があった

*3:レディースデイや会員優待を駆使

*4:イベントで100位以内に入ったフォロワーが轟くんを所持していないため