テニミュキャストは「テニミュボーイズ」ではない / 新テニミュ2nd感想

特定のキャストに対して結構辛辣です。個人の感想です。

 

 


開演してまず驚かされたのは、跡部役の高橋くんの歌唱力が進化を加速して革命を起こしていたという喜ばしい方の驚きだった。1曲目のみならず、ラストのフルメンバーの歌唱でも他のメンバーに負けない声量でフェイク(でいいのだろうか)を見事にかまし、最後の最高音パートもおそらく高橋くんが任されていた。1stでの歌唱力の柱は手塚役の山田くん(彼の安定感もまた健在である)でその後を高橋くんが追う形だったが、手塚が旅立った今(※今公演にいる手塚はほぼ仁王のイリュージョンのために存在している)、彼は1st観劇後の期待以上に中学生メンバーの歌唱力の柱を努めている。運に恵まれかなり前方の席で観ることができたが、負傷した仁王をかばい一人奮闘する跡部の鬼気迫る歌唱力と泥臭さに目頭が熱くなった。それに彼は左手での指パッチンをSEに頼らず響かせることができる。1曲目ラスト、舞台最前に中学生メンバーが一列に並ぶところで跡部が指パッチンをする。この「生(なま)」の、あるいは「本物」の音を聞いた瞬間、私の新テニミュ2ndが始まったことを実感した。

 


次に驚かされたのが真田の存在感の無さだった。彼ともう一人が今回の本題である。ベンチの真田が試合中の跡部たちに声をかけるシーンがあり、しかしこの時「今誰が喋ってるんだ?」とわざわざベンチを確認しなければならないほど声に対する違和感があった。舞台が進行すればそれだけ彼が発声する機会も増えるので、それに伴い「この声は真田か」と判別できるようになる。あくまでも「今の声は新テニミュの真田役の声だから真田の台詞なんだな」という認識であり、「真田が喋っている」という認識ではない。テニミュでの「声」はアニメの声優に寄せて演じるキャストもいれば、自分の出せる声で演じるキャストもいる(声優が女性なら尚更だ)。テニミュにおいて「声質」は必要事項ではない。それでも観客はシーズンをまたぎ、キャストが替わっても「今喋っているのはあのキャラだ」と認識できる。例えば金太郎役のミュキャスはみな「金ちゃんの声質」で喋っているように聞こえるが、白石役は1stの時点で二人とも声質はバラバラだしどっちも癖が強いし当然アニメとも大違いだ。それでも私たちは「今喋っているのは白石だ」と認識できた(もちろん「ねっとりしているなあ」などの感想はあっただろうが)。今回の真田に対する違和感を抱いたのはそれだけではない。彼の試合中に彼のテニスを「正統派テニス」と幸村が説明するシーンがあり、ここで私が注目したのは「テニミュキャスト」が演じる真田の試合ではなく、「テニミュボーイズ」という代数が代入されただけの幸村の方だった。真田役が「真田弦一郎」たるか否かよりも、テニボの幸村が「幸村精市」たるかどうかを気にしてしまった。つまり私の視点は真田ではなく、代数でしかない筈の幸村(仮)に吸い寄せられていたことになる。


率直な感想を述べれば今公演の現時点での真田役、そして丸井役は「テニミュキャスト」よりも「テニミュボーイズ」のレベルに近いと感じてしまった。キャラの気配を感じない。実力が足りない。これなら千石や石田や樺地と同様にテニミュボーイズが演じても同じじゃないのか。仁王役の蔵田くんも経歴的にもう少し演技力や歌唱力が欲しいところだが、個人的には試合中の泥臭さや形振り構わない感情を感じられたので及第点としている*1テニミュボーイズはモブ含め複数の役を兼任することが前提のアンサンブルであり、特定のキャラを演じることがあってもそこまでの読み込みを求められない(もっともアンサンブルだろうと自分に与えられた役をしっかり読み込んで演じてくれるのが一番であり、それが「俳優」の仕事でもある筈だが)。演技力や歌唱力、ダンスといったスキル面でも、とんでもない音痴やトンチンカンな踊りを披露しない限りは叩かれることもない。それが「テニミュボーイズ」なら。


テニミュ1st以前の、3rdシーズンまでのテニミュにはテニミュボーイズ制度が存在しなかった。観客は目の前の役者をひとりのテニミュキャストとして歌が上手いか下手か、動きが俊敏か重厚か、雰囲気があるかなどを判断し、時には他シーズンのキャストとの違いを比べて楽しんだ。しかしテニボという存在が現れたことにより、彼らの比較対象は他シーズンという別次元(別空間)だけでなく、ミュキャスとテニボという線引き、はっきり言えば実力の上下でも比較されることになる。現に私は新テニミュの真田役に関して、1stのテニボ演じる真田の方が鬼の副部長らしい存在感があったと憂い、同時に現真田役の今後の成長を願っている。これは「他シーズンの○○役の方がよかった」という話ではない。ダブルキャストのどちらがよかったかという話でもない。1stのテニボ真田は目立つ出番が多かったという意見もあるかもしれないが、出番の量は「役を演じる」ことの出来不出来には関係しない。それならば基本的に複数の役を抱えるテニボよりも、舞台裏で己の演じるキャラクターただひとりと向き合える筈のミュキャスの方が優れて然るべきである。「別シーズンの○○の方がよかった」という意見は、極論「そんなの個人の好みじゃん」で済ませられる。しかしテニミュボーイズという制度が生まれ、そこからテニミュキャストへと昇格する実例*2もある以上、○○役という確固たる配役を宛てがわれた「テニミュキャスト」は「テニミュボーイズの○○の方がよかった」と観客に思わせてはいけない。テニミュの真田に対する物足りなさを抱えているのが私の周りだけで2,3人いるのだ、あと25人ぐらいはいる筈だ。その25人を多いと思うか少ないと思うか、あるいは私の目算が多いにせよ少ないにせよ間違っていると思うかは役者次第であり、私たちの判断するところではない。


丸井役についてはなんというか薄っぺらい。3rd丸井の存在が関東大会戦で物議を醸したがそれとも違う、解釈違い云々以前に薄っぺらいのだ(なお3rd丸井役の大藪くんは全国大会戦で数々のテニモンに手の平返しをさせた実力者である)。過去のキャストとの比較を抜きにしても正直見るに堪えないレベルで、最高に輝いてるキミ様と最凶にクレイジーな篤京ばかり観て彼のことを考えないようにしていた。ワンダーキャッスルでの歌唱力は個人的には及第点だった(音を外さない・最低限の声量がある)が、欲を言えば今回のダブルスパートナーである木手と同レベルの表現力や音圧は欲しかった。逆に木手役の長塚くんは、もっと歌唱パートがあれば公演を重ねて上達するところが分かりやすく観られたかもしれない。

 

 

 

早寝早起きを心がけているのであとは気になったキャストを箇条書きで済ませます。ちなみに本日初観劇であと数回観劇予定。一応今作の原作部分は既読ですが、観劇にあたって読み返してはいないので物語はうろ覚え。


・越前一家
井澤リョーガが越前リョーガしているのかは分かりかねるけれども彼が越前南次郎の血を引いていることは確かなので、テニミュが2,30年後も続いてたら南次郎役としてカムバックしてほしい。初っ端から気の遠くなる感想だ。自分から腹部を見せつけるというスクールカースト上位の男が履いてるボクサーパンツにはスポットライトに照らされ燦然と輝くCELINEのロゴ(良席だったので肉眼で確認)。役者の私物だとしてもキャラ付けとしてあまりにも出来すぎている。南次郎からあのリョーガが産まれるのは理解できるけどどうやったら南次郎からあんなおぼこい今牧リョーマが産まれるんだ?

 

・手塚
仁王のイリュージョンのためにやってきて美声を披露し帰っていく手塚。お疲れ様です。テクニック的な歌の巧さだけじゃなくて的確な音を整ったピッチでビタッとはめてくる正確さは、今公演ならあいばっちの次に凄いのでは。

 

跡部
あれ(先述)以上褒めてほしい? ボロ雑巾の脳味噌から言葉を絞り出すの疲れるからもし今後観てまた気付いた点があったら書きます。最高。

 

・木手
まだお上品すぎる。木手は上品なんじゃなくて慇懃無礼なので長塚くんにはHiGH&LOWを観て治安の悪さを学んでほしい。顔が赤楚衛二くんに似てる。

 

・亜久津
顔を新テニ仕様にしたかわかみ(3rd)。声の出し方までそっくり。かわかみはカテコでしっかり礼するタイプ(あのお辞儀好き)だったけど、益永くんは亜久津のまま適当に首だけ下げるので好感度が上がった。両足膝の下にテーピングしてたので心配。

 

・金ちゃん

テニミュの金ちゃんは1stから全員当たりだと思ってる。キャスティングする側としても選考基準が明確(小柄で動ける筋肉マン)なキャラなのかもしれない。彼の片手側転の安定感は異常。安心して観られる。

 

平等院
雄蝶夫人(←初手でこの変換が出た)。ビジュアルにもうちょっと浮浪者っぽさがあってもよい。鬼先輩が歌えるのでお頭ももう少し声量があると面白い。

 

・デューク
大久保さんはフランスじゃなくてタイと日本のハーフだけどこれは間違いなく妹が美人のデューク。役者が誕生日だったからカテコでデュークホームランだけじゃなくデュークバントも見せてくれた。試合中のおしりがすごいかわいいの見て!!!!!!!!!

 

・種ヶ島
キャスト発表時「そこはあいばっちと同じでりゅーじ連れてこいや」と駄々を捏ねていたがなんと今公演のリアコ枠に入り込んだ男(前公演は泰江奏多)。ガシマの現地妻になってキミ様のサインをもらってきてもらって部屋に飾るんだ。ガシマの現地妻、47都道府県に一人じゃ足りないよな……って思ってたらフォロワーに「今回でガシマのファン8万人増えたからな」って言われたから市区町村に一人どころか○丁目に一人ずつでも追いつかない。已滅無ソングのイントロで「おっ平沢進っぽいぞ解釈一致~♪」って思ってたのに歌に入ったらそうでもなかった。

 

・大曲
WANIMAなのにWANIMAじゃないあの絶妙な感じ。WANIMAは本の整理しないけど大曲先輩は本の整理する。新テニミュの大曲先輩も本の整理をする大曲先輩だった。デュークに次いでビジュアル再現度が高いのは実は大曲先輩ではなかろうか。ガシマがボケだから自分はツッコミなんだろうとなんとなく解っている大曲先輩だった。

 

・キミ様
もし私が諸事情で一幕しか観られず帰宅していたらアンケートに「キミ様のソロ曲フル尺でください。」の一行だけぶっ込むところだった。二幕冒頭で歌ってくれて大満足です。ドリライがあるならやたら金のかかった演出で出てきてほしい。高校生の中にいるとそこまででもないのに自分の出番になると途端にオーラ増し増しになるところが仁王以上にイリュージョン感じた。人間を椅子にするとんでもない男その2(その1は3rd千石)。

 

・篤京
今公演の事前情報が「輝馬がヤバい」だけだった。事実だった。輝馬演じてて絶対楽しいだろうな。歌唱力は薄桜鬼の山南さんで知っていたので文句なし。あとこのツイート。1812大暴れ輝馬篤京、生で観たいにも程がある。(そんなものはない)

 

・越知毛利ペア
カズヤを担ぎ上げる時に越知先輩が腕を余らせているところを見てほしい。毛利先輩は関節外しが上手い。

 

・テニボ
幸村役の子がとしき(増田)とTOSHIKI(立石)に似ているとフォロワーの中で話題に。それってほぼ幸村じゃんね!?

 

 


次に会場に行く時はガシマの女のつもりで行きたいんですがガシマの女ってどんな服着ると思いますか? 正直私の服のテイストとガシマの好み絶対違うと思うけど夢の国で一緒にはしゃげる(※好みのタイプ)から大丈夫だわ。USJも行けるで!

*1:が、これはもしかしたらダブルスパートナーの跡部(高橋くん)のがむしゃらさに影響を受けたのかもしれない。だとすれば高橋くんはチームの実力の底上げができる本当の跡部のようだ

*2:4th不二役の持田くん。新テニミュ1stで向日役などを担当