テニミュで跳ねるキャラの要素とは / 新テニミュ2ndを終えての感想(前編)

神奈川2、東京3の計5公演+東京楽と大楽の配信を観劇。個人比では多い方。自分でチケ取りをしたのが久々で、コロナ禍ということをすっかり忘れて取り過ぎたチケットを捌けなかったが蓋を開けたらそのチケットをすべて自分が座ることによって捌きランブロを必死に探すぐらいには熱中できた公演になったので結果オーライ。


ツイッターもご覧いただいている方はご存じのとおりガシマに爆沸きしているが、彼に爆沸きしているのは私に限った話ではない。たまたまステージショットランダムブロマイドの物販解禁日に観劇予定があり、ソロを歌い上げるガシマとぺたん座り泰江奏多のランブロ欲しさに初めて新及び4thのランダムグッズに手を出した。やす江はその日の朝から「なんかやす江自引きできる気がする」「やす江は私のところに来る気がする」と才気煥発していたとおり見事に自引きを果たすもガシマをゲットできず、交換ツイートを検索するとそこに広がっていたのは怒濤の「求:種ヶ島」の山であった。分け入っても分け入っても青い山ならぬスワイプしてもスワイプしても求:種ヶ島(種ガシマ頭火)。種ヶ島の供給不足である。テニスでは本来千石清純のオタクなだけあって好きな男は女の子からモテればモテるほどよいと思っているが、トップレートを直走ってグッズ入手に難をきたすほどモテるのはいくらなんでも困る。これが過去に付き合った人数:たくさん☆*1の男の底力か。交換ツイートの状況に加え、ランブロ解禁後数日は高校生ランブロの当日分完売が続いていたことも考慮すると新テニミュ2ndのトップレートは種ヶ島ただ一人だった。テニミュでは過去にも3rd8代目菊丸があの跡部に匹敵するワイルドカードだった事例(入場特典の柱巻やカラ鉄などの公式コラボ)もあるが、跡部を抜き去って独走したのは秋沢さんの種ヶ島が初ではないだろうか。ランブロは中学生と高校生で別れているが、しかしツイッターの検索結果は求:種ヶ島の濁流であった。それでもなんとかガシマの最高ショットを入手し、キミ様など他の欲しいキャラも手堅く揃えて観劇期間を終えた。そして私は3rdシーズン振りにテニモに入会した。秋沢さんのキャスブロで夢女はご臨終待った無し。テニモンであの構図が嫌いな人いるか?いないだろ。

 

8代目菊丸も種ヶ島も、原作での人気はトップレベルではない(菊丸は上位に含まれるが)。じゃあテニモンは彼らの何に沸いているのか。二人に共通しているのはスキルの高さだ。ビジュアルは正直どちらも似ているとは言い難い。大きな猫目の菊丸に対してほんだパイセンの目は円らではないし*2、丸い頭部の種ヶ島に対して秋沢さんはやや縦に長い(面長ともまた違う気がする)し身長も下方修正されている。種ヶ島に限らず高校生は越知に本物の2m超えを連れてくるのがまず不可能なので、原作より低くなるのは致し方ない。そんな中で相葉というミュキャスは15年以上経ってもデカい上に迫力までもを携えて帰還してきた訳だが。

義務教育を受けていた頃からの1stモンなので当時の写真がある

ほんだパイセンの菊丸で特筆すべきはご本人のプロ根性と、ラケット捌きも含む圧倒的なアクロバットのスキルだ。猫のようなアクロバットという菊丸英二の必須級しかし現実的にはなかなか難しいスキルを次から次へと披露し、徹底したアイドルっぷり(ぶりっこと捉えられることもあったが私は舌を巻いた方のテニモンだった)でさらに魅せる。私は彼の菊丸が諦めから立ち上がって瞳の輝きを取り戻す演技を高く評価している。要所要所でしっかりと、8代目菊丸はテニモンを沸かせてくれた。秋沢さんはスキルの安定感*3も然ることながら、舞台上での隙の無さで我々が素に戻る瞬間を已滅無のごとく無にしている。いつ目を向けてもそこにいるのは彼が原作から見出した種ヶ島修二であり秋沢健太朗ではない。技のポージングから立ち居振る舞いや身のこなし、爪先までの所作に気を遣うのは原作のあるキャラを演じる上では当然だが、秋沢さんはそれだけではなく表情の作り方までも徹底している。一瞬たりとも秋沢健太朗に戻らない。ラケットが無くても試合をしていなくても、他の選手の試合を観ているのもガシマ、胡座をかいてリラックスしているのもガシマ、お頭が拾ってきたリョーガのお守り(※G10の技の解説や丸井がワンダーキャッスルを披露した時に起こしてあげる)をしているのもガシマ、常に種ヶ島修二がそこに居る。当たり前のことだがこれができないキャストは案外いる。メイクしてジャージ姿で試合を眺めてボールの軌道を目で追えばそれだけでキャラになれるなんてことは断じてない。種ヶ島には種ヶ島「らしい」所作があり、それは役無しでもキャラを演じなければならないテニボの演じる彼らも含め他のキャラクター、否2.5次元舞台の彼らすべてに言えることだ。


別作品になるが、HiGH&LOWシリーズで轟洋介を演じる前田さんは「脚本に提示された轟とファンの人たちが思う轟の最適解を演じたい(※うろ覚えだし意訳)」と時々仰っている。轟が出番の少なさに反して知らぬ間に人気キャラになっていたという背景もあるだろうが、ご自身が演じるものこそが唯一無二の原作となる役を演じる前田さんですらそう考えるのだから、況んや確固たる原作を持つテニミュのキャストに於いてをや、原作の延長線、そして役者本人も含めた読者がそれとなく思い描く漫画の「コマの外」との合致点を探らずして誰がミュキャスと呼べようか。


ほんだパイセンの菊丸も秋沢ガシマも、演じている彼らを見るテニモン達が我に返る隙を与えない。キャラクターの像を掴むという基礎を重んじ、「コマの外」にあったかもしれない隙間を埋め、各々の役柄に合った技術でテニモンの心を掴む。テニミュで突然変異的にキャラ人気が跳ねるところには、キャスト本人の役柄への飽くなき探求と、歌唱力やダンスなどのスキルの高さが必ず揃っている。2.5次元舞台はビジュアルの再現度も重要だが時として役者の技術はそれを上回り、ヤバすぎる爆発モンを産み出す。今回の種ヶ島のように。

 

 

 

他雑感。息切れしたので全体的に中途半端


平等院と鬼の一騎打ち
ガシマガシマと鳴いてはいるが、実は私が配信で一番再生しているのはこの試合。曲のメロディラインから平等院と鬼、それぞれ最強故の、上位に立つ者にしか見えない茫洋とした孤独を勝手に受け取ってしまい胸が苦しくなった。時間すらない異次元に平等院はたった一人で存在している。平等院の「その星をひとつひとつぶっ潰し俺は異次元を手に入れた」ってとんでもない歌詞だし歌ってるのもヤバい奴なのに、あのメロディラインは平等院が倒してきた選手たちへの哀愁を多分に含んでいる。原作の鬼神イラストをそのまま舞台後方に大写しにしたのはシンプルイズベストな演出。今公演の鬼先輩のメロディラインは冒頭のG10曲のソロといい、クラシック音楽のロマン派っぽさを感じる。ベタな和風テイストやただのロック調にしなかったのは名采配だと思う。


・コーチ陣
コーチ陣の使い方が完全にダメな時のfeat.校のそれ。南次郎の松山さんも捕まえられたことだし出番が無い訳ではないからコーチも出すことにしたのかな、と邪推するぐらいには中身のない出番だったけど、日替わりストレッチを全公演変えた学さんもブラックホール曲での歌声が冴え渡る村上さんも充分有能なんだよなあ。でも柘植コーチはムチムチさせすぎ感あったね。


・越前家

リョーガがソロ曲で突然腹を見せつけたのまさかの2/3公演のみっぽい? 演出からNG出たのかな。適宜NG出すのは大事。まあ私の脳裏には未だにCELINEのロゴが焼き付いているんですが……。いざわがツイッターでおのけんとにめちゃくちゃ喧嘩売ってる(お兄ちゃんマウント取ってる)図が面白い。ちゃんと10球打ってるし10球避けてる。


・イリュージョン
後編で蔵田仁王のことをちょっと褒めている。ちょっと(PCS(演技構成点)5万点)。りょやべは今更何言えばいいの~~~~~喉にスタミナ(?)つけて誰にも文句言わせない最強の跡部になって。山田くんは4th峰を経てきびきび動けるようになったので密かに評価している。ベンチではしゃぐ毛利G10のショタ枠すぎない?と思ったら毛利先輩だけ高1なので正解だった。越知役の楚南くんの頭が小さすぎて胡麻。ごとうだの仁王といい頭が小さいと盛ったカツラも難なく着こなせるので、高身長小顔が来てくれてよかった。カツラで何cm盛ってるのか知りたい。


・波動球
巨体寄りなのにチャーミングな彼のウィンクは本当に私の理想のデュークウィンク(~♡)でありがたいですなぁ。大久保くんがデュークヘッドにしてオーディションに来たら誰も勝てない。テニボ銀については後編にて少し。


・ギロチン
配信で見たら木手のポージング特に大飯匙倩のそれが美しかったので、彼の出番の少なさがつくづく悔やまれる。ただアップになるとマジでお顔が可愛い~~~~~~~!!!ディスタンス登場時のとっとこ永四郎も可愛い。長塚くんのキャスブロのストイックさ5万点。ブン太は公演を重ねて成長してないことはないと思うけど赤也の台詞吸わされたのが一番の不運(後編に詳細書きます)。丸井木手ダブルスはアニメのキャラソンが声優による作詞作曲という点も含めて名曲なので知らない人は聴いてみてね。

輝馬はいつでも楽しそうで何より。薄桜鬼の時もそうだったけど輝馬が歌い出すとミュージカル始まったなって思う。樫澤くんついでに観月はじめもやらない? デカすぎてもりたのキヨスミの再来になっちゃうか……(181cm)。原作キミ様の顔面はいわゆる大人顔タイプなのに対して樫澤育斗は子供顔、原作キミ様は芸能人なので多分華があるけど樫澤育斗は華よりも生来の品の良さで存在感を出しているように見える。歴代観月がイジられキャラになりがちなので*4キミ様も今後どうなるかは分からないけど、あの喋り方がネタにならずハマっているのは樫澤くんの持ち味だと思うのでどんどん活かしてほしい。オタクは今すぐ骨格ウェーブPDグレースの彼に似合う服を貢げ

ポップスターは「テニミュがシティポップをつくるとこうなる」って感じでよかった(小並感)


・鬼
新鮮味はないが安心して見られる二人。天衣無縫ソングの歌詞でコシマエの名前を出す必要は無かった。何故なら原作でもこの試合でコシマエとの出会いに触れることは無いから。越前のなんたらかんたらとか歌わないで純粋に目の前の鬼のオッチャン/金太郎との試合を楽しんでほしかった。


・巌流島

2/15の真田が酷すぎて激怒したけど「端に寄ろうが何処に立とうがお前が舞台の上にいる限りお前は真田弦一郎で必ず誰かがお前に真田を求めてるんだよ」は真田に限った話じゃなく舞台に立つ人間にはもれなく当てはまる。大楽が近付くにつれて成長を感じたけどもっと成長速度を上げてほしかった。彼も9代目手塚のうのさん同様、案外力抜いた方が真田に近付くんじゃないか?と配信カテコの時にちょっと感じた。うのさんはカテコでコメントしてる時が一番手塚だった。ところで真田の顔面すのーまんによく似た子いるよね?すのーまん半分しか把握してないので把握してない方の半分にいる気がする。亜久津は「テニミュの亜久津」のフォーマットに則った子が来たなあと。膝下のテーピングも私が観た日だけだったようだし、発声もかわかみほど無理してなさそうなので安心。亜久津の「ウルセーバカ!」の脳直すぎる罵倒があまりにも年相応で大好きなので生で聞けてよかった。やや高音が出せるから「♪オールドチャンピオン」のパートを振り当てられたんだろうけど本人的には厳しそうなのでテニミュはもう少し考えてパート振りして。大楽の試合後に汗なのか涙なのか分からない水分をぽたりと零したところでテニモンの気持ちはアイラブ亜久津。もし4thも兼任なら腕や脚に筋肉つけて戻ってきてくれると尚ヨシ!

大曲パイセンというか畠山さんも本当はボケに回ってみんなとはしゃぎたいんだろうなというのをひしひし感じる。でも自分がツッコまないとテニス始まんないからな。勘弁しろし。彼がベンチで絡むのは意外なことにキミ様が多い。手塚ゾーンを見た時にお頭と三人で指をぐるぐるして原理を理解しようとしてた。ガシマは原作アニメミュの中で一番「京都出身」感ある。「行ったれ竜次~☆」って言ってるガシマは完全にギャルなのに黒色のオーラ見極める時に瞳孔開くのガシマロボ起動してて怖い。Nothingの曲調はやっぱり平沢進だった。ガシマはアルバム「点呼する惑星」で嘆くAstro-Ho!を天から見て笑ってる神様のイメージだし原作の種ヶ島に『聖馬蹄形惑星の大詐欺師』は合わないけど二面性のある秋沢ガシマにはめっちゃ合う。Nothingの1番と2番で「なんも無かったことにしてまう」の歌い方を変えてくるのなんぼなんでも芸達者過ぎる上にえっち過ぎるしサーブの前にボールに息フッてするのも芸達者だしえっち過ぎだしでテニモンはガシマにヨレヨレになっている。海の王者で徳川の腸(はらわた)ぶっ刺した後に高音パートで美声を披露してデュークの剣を預かり大曲さながら二刀流の剣技するガシマも最高。日替わりネタを公式映像として大々的に残る大楽で原作準拠に戻したのも流石俺たちのガシマ。

修二のお陰で新テニミュますます楽しめそうだよ。ありがとう(ガシマの現地妻の人格)


・大海原
平等院のびは「美」のび。良くも悪くもポージングが綺麗に決まっている。佐々木さんご本人はお頭と違って独自の品を備え持つ方なんだろう。お頭に品は要らないけどミュージカルとして盛り上げられる程のスキルは必要なので佐々木さんに文句無し。東京楽配信特典で指ハートした時に「こんな指ハート似合う平等院居る!?」って吠えた。単純に似合いそうという理由でいつか新感線のメタルマクベスの主演やってほしい。おのけんとは1st(シーズンでもステージでも好きなように解釈していただければ)から随分進化した。体が細いからブラックホールの映像演出に全身が収まる。平等院の海賊船は船の帆とG10海賊という物理で押す演出なのに対して徳川のブラックホールはスクリーンに映る映像という実体を伴わない演出なのがベリーグッド。映像演出の多様に関しては色々思うところがあるけれど(4thに言ってるぞ)、新テニミュ2ndの映像演出は分を弁えていたし照明もここに来て見たことないものを出してきたりとこっちはこっちで新しいものを沢山見せてくれている。

 


後編は新テニミュ2ndでの「テニミュボーイズ」の在り方について。

*1:出典:テニパ/この質問の回答者は伏せられているが語尾に☆が付くのは種ヶ島しかいない

*2:歴代菊丸で目の大きさが原作に追いついているのは3代目せと丸ぐらいでは。7代目まりおちゃんも別に菊丸顔ではないがテニミュの菊丸顔パターン2(4代目など)だと思う。パターン1は初代や2代目など

*3:歌唱なら鬼や手塚跡部、ダンスならやす江やリョーガなど彼を上回るキャストは何人もいるが秋沢さんは全体的なバランスの良さと歌で高音が出せるという武器を持っている

*4:3rd観月が公演を重ねる毎に垢抜けるのともまた違った「美」を取得していくのをリアルタイムで追えたのは文字通り美しい思い出