あつ森をやったら「推しに服をプレするオタク」の気持ちが解かった話

およそ三週間前にやっとあつ森を始めた。この手のゲームを攻略サイト片手に取り組むのは個人的には違うなあと思ったので、何もチェックせず、たぬきちに言われるがまま無人島移住プランを組んでほのぼの借金ライフを送ることになった。この時私(プレイヤー)と一緒に移住するキャラクターがランダムで2匹ついてくる。一緒に来てくれたのは、あつ森には火の鳥がいるんだなあと思いきやカテゴリ上ではダチョウだったヒノコちゃん、そしてもう1匹が現在私が狂っているペンギンののりまきちゃん(※男の子)だった。こののりまきちゃん、あつ森をプレイしていなくてもTwitterに入り浸っている人間ならおそらく目にしたことのある、ぴえん顔のヒツジのちゃちゃまるくんと同じタイプの性格をしている。一人称が「オイラ」のちょっと間抜けなキンニク大好きちゃん。他の島民に「子供っぽい」と言われてぷんすこするような子だ。Twitter上のちゃちゃまる画像や映像を思い出して「可愛いなあ~いつか私の島にもやってきてくれるかな~」と思っていた私は、同じ性格かつSuicaのペンギンと同じ種族ののりまきちゃん(くん)にあっさり陥落した。まあるい頭にずんぐりむっくりの胴体。アホの子ほど可愛い。

 

あつ森には色んな要素があり、その内のひとつが「服」だった。しかしあつ森のアイテムは服に限らず欲しい物が欲しいタイミングで手に入るとは限らず、店頭に並ぶ商品も固定ではなくほとんどが日替わりだった。ある日飛んでいた風船を打ち落としたらたまたま欲しいアイテムが入っていた、なんてこともある。その風船を打ち落とした時、私が手に入れたのは「プロレススーツ」だった。いや……着ねえな……と文字通り箪笥の肥やしになったそれは、いつしか「家の収納を圧迫するお荷物」と化していた。

 

そういえばのりまきちゃんはキンニク大好きで、時折してくる質問の内容も「この中で好きなスポーツ」や「鍛えたい筋肉の部位」といった、ざっくり言えば運動に関するものばかりだった。もしかしてのりまきちゃんならプロレススーツを着るのでは?と思った私は早速プレゼントした。のりまきちゃんとの親密度をあげるためでもあり、家の収納スペースに空きを作るためでもあった。

 

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カワイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

こんなどピンクのプロレススーツ誰が着こなせるんだよと思ったが、のりまきちゃんの青緑の肌とピンクのほっぺにこの服はとてもよく映えた。天からの贈り物ありがとう。その上ネイルアートセットなんていうシャレオツなお返しまで貰った。飾ってみるとネイルはネイルでも完全にジェルネイルのそれだったので、現実の私もジェルネイル復帰するか……?と考えた(が出掛ける先が無いので躊躇している)。兎に角のりまきちゃんが私が贈った物を着ているのが最高だった。とても目立つので画角に入ってもすぐ見つけられる。好きが過ぎて猛烈アタックした(めちゃくちゃ話しかけた)。そしたら後日手紙が届いた。島民からの初めての手紙がのりまきちゃん、しかもプレゼント付き。嬉しくて初めて手紙のお気に入り登録をした。

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いちばんのマブダチ……(そっと胸に手を当てる)

開けてみたところプレゼントは「かせき」だった。これがのりまきちゃんの言う「ロマン」ってやつね……。あつ森の化石は、博物館でふくろうのフータくんに何の化石かを鑑定してもらう必要がある。ウッキウキで博物館に駆け込んだ。おらフクロウもう昼だぞ起きろ(※フクロウは夜行性のためフータくんも日中は入り口ですぴぴ……と転寝しており、夜になるとお目目ぱっちりで起きている)

 

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ウンコのかせきーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

 

弟と共にコロコロコミックを読んで育った私は大はしゃぎした。のりまきちゃんからの最初のプレゼント、まさかのウンコである。しかしこれはのりまきちゃんだからよいのだ。もしヒノコちゃんやレムくんちゃん*1からのプレゼントだったらヒノコちゃんたちには「前にくれた化石、実はウンコのかせきだったよ……」なんて絶対言えないし、あげた方もまさか自分の贈り物がウンコだったなんて知ったらきっと恥ずかしさのあまり島を出ていってしまう。それは困る。でものりまきちゃんならきっと「ガーン!」のリアクションをした後に頭をかきながら「やっちまったな……」と照れてくれる。可愛い。そもそもゲーム内には私がもらった物への反応を返す手段はほぼ無いので、これはあくまでも妄想である。のりまきちゃんが私にくれたウンコのかせき、島の博物館でバッチリ展示されてるからね……(照)

 

のりまきちゃんはその後もプロレススーツを着てくれた。手持ちの赤白ボーダーの服に戻っていた時は一瞬びっくりしたが、しばらくするとプロレススーツになったりまた戻ったりする。どうやらお気に召してくれたようだ。嬉しい。その服私があげたんです。可愛いでしょ(のりまきちゃんが)。

そんなある日、アデレードちゃん*2に話しかけたところ「のりまきさんと喧嘩をしてしまって謝りたいけど勇気が出ないので代わりにプレゼントを渡してきてほしい」と頼まれ、快く承諾したところのりまきちゃんへのお詫びの品を渡された。こちらからすればのりまきちゃんと話すネタができてラッキーだぜと秒でのりまきちゃん家へ遊びに行き、「お届けものでーす」とプレゼントを渡した。なんとそれはMA-1、つまり服のプレであった。当然その場で着るのりまきちゃん。あ゙!?!?!? 私があげた服は!?!?!?!?!? 発狂した。その日一日のりまきちゃんはアデレードちゃんから贈られたMA-1を着ていた。ぐぬぬ……。どうせなら私も欲しい……。 悔しさのあまり自宅に戻り即座にクローゼットを確認すると、運動するのにうってつけのフィットネスタンクトップが水色と黄色でダブついていた。これだ! と翌日に対面でプレしたところ早速着てくれた。まあそういうシステムだからな。問題はこの後である。のりまきちゃんはセレモニーなどのイベントでも私があげたプロレススーツを着ていたことがある。果たしてフィットネスタンクトップも同様にのりまきちゃんのワードローブに仲間入りできるのか……!?

 

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のりまきちゃんそんな……ニオイがしみつくまで着てくれたの……ちょっと自分の可愛さに無自覚なのか発言が不用心すぎて心配になってきましたね……

 

ちなみにあれ以来のりまきちゃんがMA-1を着ているのは一度ぐらいしか見たことがない。要らないなら私にくれ。 これは完全に私の大勝利である。……なるほどこういう感情か! 一部のオタクが必死にプレ戦争をしているのは! 私が実在の推し(若手俳優/異性)に対してプレゼントを贈ろうという気が滅多に起きないのは、第一に自分のセンスが相手の感性に合うか分からないという自信の無さや不確実性と、合わなかった時に何らかの方法で処分するという手間を取らせなければならないという懸念が主だった。実際の友人同士で贈り合う物ならさておき、不特定多数の人間から一斉に渡された物を必ず使うなんてことはまず有り得ない。況んや余計にセンスが問われる服においてをや。だったら私はそのお金で、確実に自分が着る服を買いたい。ところがゲームであればそんな憂慮は必要ない。のりまきちゃんは私があげた服を気に入れば着るし、気に入らなかったらお部屋の隅っこに追い遣ってしまえばいい。邪魔も手間もそこにはない。ゲームだから。ただのりまきちゃんが私以外の子があげた服を着る姿はあんまり見たくない。それ自体はオシャレだけれどのりまきちゃんの肌の色には似合わないベージュのMA-1よりも、私がのりまきちゃんの好きなファッションや似合う色だろうと思って贈ったものを着てほしい。なぜならのりまきちゃんは可愛いので。なるほど一部のオタクが躍起になるのはこういう感情のぶつかり合いがあるからなのか。思わぬところで疑似体験ができてしまった。ちなみにアデレードちゃんは私と服のセンスが似通っていると思うのでのりまきちゃんじゃなくて私にプレしてほしいです、とっても(※アデレードちゃんの口ぐせ)

 

のりまきちゃんには今日はもう赤の懸垂器をあげてしまったので、明日は赤のポータブルレコードプレイヤーをあげることにしている。ムシやサカナなどの売却価格が知りたくて攻略サイトを覗いたところ、服だけでなくある程度金額のするアイテムもプレゼントすると好感度が上がると書いてあった。まるで家電をプレする若手俳優のオタクじゃないか。そして好感度がほぼ上限値を叩き出すと、その子から自分の写真(裏面にプロフィール付き)が貰えることもあるらしい。のりまきちゃんの写真、欲しい……。結局私はジャンルや次元を超えてまで、好きな子の写真のために東奔西走することになってしまった*3。わざわざ出掛けた池袋や茫洋としたフリマサイトではなく、ゲームの中で完結するだけマシだと震え声で自分に言い聞かせながら、今日も私は島を走る。

 

 

*1:後から越してきたヤギの男の子。どうやらゲーム内のパラメータ上で現在私と一番仲が良いのはのりまきちゃんではなくレムくんちゃんっぽいけど、レムくんちゃんも可愛いのでオッケーです

*2:レムくんちゃんと一緒に越してきたコアラの女の子。今私が着ているゴムエプロンをくれた。可愛い

*3:言わずもがな一度目はもりたのキヨスミの座席当選写真