いつだって「王子様」にいてほしい / ミュージカル新テニスの王子様3rd stage感想~メルパルクホールに寄せて

サーステを8公演観たが、そのうち6公演は大阪公演だった。東京凱旋がまたしても座席ガチャ甚だしい立川となってしまい、じゃあそのひとつ前の開催地である大阪公演に通おうという考えに加え、メルパルクホールの営業終了という悲しい知らせも私の背中を押した。東京公演を観たのは大阪の前の肩慣らし、凱旋公演はフォロワーが誘ってくれたから観に行くのであって能動的に取ったチケットではない。

 

 

 

メルパで簡易祭壇すな ちゃんとキヨスミもいました

 

 


今公演の「私の王子様」は種ヶ島修二だ。

 

私の永遠の、一番の、たったひとりの王子様はキヨスミ先輩こと3rd千石だが、名前に付いたシーズンの数を見ればわかるとおり、彼が私たちの前に姿を見せることはもうない。誰かしらのアクスタを持ち出す時、写真を撮ることがなくともポーチの中には必ずキヨスミ先輩もいるのだが、それは私が彼を連れ出しているだけで、今の彼が私をどこかへ連れて行ってくれるわけではない。さながらセカステ時のテニモキャストブログの写真のように、手を差し伸べて「楽しいことがあるかもしれへんで☆」と今の私を外へと連れ出してくれるのは、新テニミュの種ヶ島修二だった。

 

私がメルパルクホールを認識したのは、1st関東氷帝公演の分厚くて大きなパッケージに収まったDVDの映像だった。大阪公演でのバックステージ映像の始まりを飾る銀色のメルパルクホール。旧青年館で自分が体験したのと同じように、そこでも公式による出待ちが行われていた。中学生の私にとって、大阪のみならず地方公演は遠い世界のお話だったし、大きくなっても東京に住んでいる自分がわざわざ遠征をする理由もなかった。キヨスミ先輩に熱を上げていた時だって(もっとも未だに夢中なのだけれど)、地方を回ってもだいたい最後は東京に凱旋してくれる。円盤リリイベでどうしようもなくなって、初めて一人で新幹線に乗ったのはキヨスミ先輩のためだった。

 

そんな私も新テニミュが始まり、ブログでは一行しか触れていなかったがファーステで初めての本公演遠征をした。やす江に沸いていたのとフォロワーがチケットを持て余していたのと、円盤含めみんなの言うメルパルクホールをこの身で体験してみたかった。マジで見やすかった。大阪の地に立つ私を見たフォロワーはみんな驚いていた。まさかすどが遠征するなんて、それもまさかのやす江に沸いた結果である。セカステでは遠征しなかったが、4th関氷は確実に観える劇場で観たかったので遠征して宿泊時に枕をゲットするなどした*1。東京でも観られる本公演をわざわざ新幹線に乗って観に行くことを私に覚えさせたのは、ファーステの「私の王子様」はやす江奏多だった。

 

そもそも旅行もしない人間なので、今公演で2週連続宿泊遠征それも初のホテル連泊(※連泊したのはメルパではない)を果たす私にフォロワーは「急にどうした!?」と驚いた口を揃えて言ったが、私たちがいつまでも、あるいはいつまで秋沢健太朗の種ヶ島修二を観ていられるのか、その保証は何処にもないという懸念が私を突き動かした。自分の1公演目を観る前日、初日のレポを薄目で流し見て種ヶ島の曲がないことを確認した。そりゃそうだ。種ヶ島にヨレる前から原作のVSゼウス戦が好きだった私の希望は、サーステのギリシャ不在というキャスティングによって呆気なく打ち砕かれている。前日になって急に虚無が立ちこめてきたが、そんな暗雲すらも種ヶ島修二は自らの活躍で、ボールについた埃と一緒に吹き払ってくれた。出だしの船、ほんの数行で流されるアラメノマ、黒馬、セカステやレボライで見せた日替わり力を買われたのか最早アドリブ担当と言われても過言ではない細々とした出番。ベンチにいるからこそ見せるU-17日本代表年長者としての目配せ。それに何より、巻きではあるもののコートの上を走り回る種ヶ島を堪能できた。気がついたら重たい双眼鏡を構えて種ヶ島ばかりを見つめている。結局私はこいつのために大阪まで行ったのだ。メルパルクホールが閉まるからと言って、そこに彼がいなかったらわざわざ新幹線に乗って遠路遙々大阪まで行くこともなかっただろう。公演も楽しかったしフォロワーとも会えたし、ちょっとだけ観光もした。新テニミュの種ヶ島修二もまた、やっぱり「私の王子様」なのだ。そして彼もまた、かつての誰かの王子様たちのように、私たちから見えない舞台の奥行きへと帰ってしまう。いつか必ず。


ここで言う「私の王子様」とは何も私だけの王子様という意味ではなく、オタクの数だけ「私の王子様」がいると思っている。同じ種ヶ島のオタク、それも同じ種ヶ島のテニモンだとしても、彼を見つめるオタクの数だけその人の王子様たる種ヶ島修二がいる。当然私にとってのキヨスミ先輩は、他の誰にもわかり得ない存在だ。そうした存在にいつだって、誰の傍にもいてほしいとサーステを経て強く感じた。その人がいるからよりテニミュを楽しめるし、たくさんのときめきを与えてくれるし、それ以外の楽しいこともいっぱい教えてくれる存在。この記事を書いている間に4th関東立海公演での11代目卒業が発表され、テニミュも4周目だというのに初めて体験する「卒業」に動揺を隠しきれないテニモンが案外多いとフォロワーが話していた。私は青学のオタクではない上に2代目の時から卒業と新キャスト発表を繰り返し見てきたおばあちゃんモン、さらに4thシーズンは新テニミュと平行して興行されているから、彼らへの愛着が薄いのも正直なところだ。しかしそれだけ悲しんで狼狽えるオタクがいるのは、彼らも間違いなく誰かの王子様であることの証左であり、テニモンたちが「私の王子様」との別れを目前に控えていることを意味してもいる。キヨスミ先輩のいない世界で舞子坂の彼らが私に手を差し伸べてくれたように、彼ら彼女らがちゃんとお別れをできたその先で、また新しい「王子様」と出会える未来があることを祈っている。

 

大阪楽翌日の朝のメルパルク大阪

 

私にとってメルパルクホールは、新テニミュと共にある劇場だった。4th関氷は当時書き残しそびれたのが自分でももったいないほど言いたいことが多すぎて、まあホテルの朝食に自室用持ち帰りコーヒーがなかったため交差点斜向かいのスタバに行ったらこの後死闘を繰り広げる二人が仲良く来店しておりそれとなく目を逸らすテニモンたちという面白い光景にも立ち会えたのはいい思い出だが、それだってファーステで大阪に行かなければのちのち体験することもなかっただろう。そんなメルパルクとテニミュとの終わりを今の私の王子様である種ヶ島とともに迎えられたのも、彼のいない世界で思い出のひとつとして振り返る日がいつか必ず訪れる。

 

 

 

 


以下雑感。通ったからこそ書き残すけど、サーステは舞台としての出来なら何かと叩かれがちな4th未満だと思います。私は4th関氷の挑戦を本当に高く買っているし(悲しい哉それが多くの人に刺さるかは別)、六角緑山公演も立川ガーデンスクエアでさえなければもっと通いたかったし通えた筈なので……。サーステは特に一幕の場面転換の雑さ何があった? ミュージカル初心者か? ツベ共和国は完全に省いてよかったよね。テンポが悪くなる以外なんの作用もしていない。プランス戦のリョーマソロ前の昭和怪獣映画みたいなサムライ演出も、脈絡無く突っ込んでるから自己満にしか思えない。あと本物の外国出身キャストを採用してくれたから日本語もままならない方もいらっしゃるし、日本人キャストにも舞台初挑戦の子もいたからサーステがこれまでの新テニミュのように9,500円取れる代物だったのかと考えると……。それはクオリティだけじゃなくて、正直そういう出演者の多さによるキャスト同士の和気藹々とした雰囲気が良くも悪くも(と言っておこう)舞台上にも出ている。楽曲に強めの引き締まる曲じゃなくて世界へ飛び立つイメージの爽やかな曲が多かったのも一因か。負けたら終わりの筈なのにそんな感じのない公演でした。フランス戦D2のポージング対決で歓声を上げるのは、ポージングへの歓声ではあるものの実際には得点を入れたことに対する歓声でもあるのでなかなか体験できない面白さだった。私は歓声を上げながらも8割方ガシマ定点をしていたんですが……。

 


・今公演のテニボは大きな出番を与えられなかったネームドキャラをこなしているお陰もあるのか、ちゃんと個々を認識できるのでよいテニボたちだと思う。特にロッキーやフィッツジェラルドさんを演じたさかたひろむくん(で合ってる?)、フィッツジェラルドさんにしては細身だし若過ぎるけど金髪が似合いすぎだしロッキーの時のダンスも楽しそうに踊っているので、たとえ固定の役を持たないボーイズとしてのキャスティングだろうと手を抜かずにしっかり魅せてくれる子がいてくれるだけで嬉しい。さかたくんのアンリくんとかどうすか? 彼らのオーストラリア戦をもっと観たかったと思わせてくれるいいボーイズ達でした。ミルマクもきゃわわ。ぶっちゃけマックで元気ちゃんワンチャンとか思ってたけど、元気ちゃん呼ぶほどの配役じゃないってことでもあるんだろうね……。めそ。テニミュに現れなかったノアくんVS跡部の馬上テニスならぬ盤上テニスも観たかった。


・幸村くんが「テニスが出来る喜び」という自分だけの答えを自力で掴み取る話が新テニスの王子様で最も好きなので今公演の幸村くん曲の歌詞に激おこになっており(該当ツイートがやたらふぁぼられていたので私だけじゃないのは確か)、フォロワーがなんとかして歌詞の区切りを工夫することでどうにか納得できるように解釈していたのでそれを聞いた私もちょっとフゥン……?となりつつあったけど観客それも原作厨にそこまでさせる時点で駄作。ふじた村の歌唱力を無駄にするな。7日夜の自分の初日はふじた村の歌唱力に涙がぽろ……と落ちたのにクライマックスの歌詞で私の涙返せになった。ストレートに「テニスが出来る喜びは 俺は誰よりも強いんだ!」を歌詞にしてよ。新テニミュは幸村くんが苦しみを打破したその先に見つけた光をなんだと思ってるの? やっぱり国語の偏差値2なのかな? ふじた村の背の高さはあんまり気になりませんでした。


・プランス王子にすどペンを握ってほしい。これが最大の賛辞だということはフォロワーなら解ってくれる筈だし彼のことは今更私が褒めるまでもないでしょう。僕は高貴な生まれ♪血筋最高♪←それはサーステを観たテニモンが一番実感しているよ。しかもプランス曲が好みの曲調でなんていうのかな、半分冗談で「これはレヴュースタァライトなら高貴のレヴュー!」って言ってるけど劇場チック、舞台チックな曲のつくりなのかもしれないしそれをそこまで高めているのは他ならないDIONくんの歌唱力や表現力。「♪お前 王子様だって」の歌い方の感情の込め方が好き。その後の歌詞が無くても「僕という王子が在りながら何を宣うんだ」という遺憾の意を感じられる。プランスの試合中BGMはチェンバロが用いられてるけどソロ曲ではイントロや間奏にわずかに入るぐらいなんだよね。途中から疾走感のあるストリングスにアクセントが代わる。好きすぎて胸が熱くなって涙まで出そうになる(※私は玉葱を切るだけで涙が流れ落ちるガバガバ涙腺の持ち主)。プランス王子のトレカとランブロ探してます。


アマデウスさん、強者感やセクシーさやカッコ良さの中にあきさわ本人の持つ面白さが同居しているため素直に萌えていいのかわかんない……と言ったらフォロワーに「萌えてええんやで(にっこり)」と言われたのでアマデウスさんのブロマイドください! でもあのアマデウスが気に入らなかったらアンケート書いていい方向性ではあると思ってる。だがしかし私は好きなので「……コートチェンジだ」の流れで私のことを俵担ぎしてほしいし俵担ぎする時にちゃんとん゛ん゛ん゛ん゛……って唸ってほしい。あとスミレ号、私のお姉様になってくだs(ごめんなさい!) ガシマは高音パート厨の私が大満足の高音披露っぷりでした!


・ほしのくんがキミ様のことをとても大切に扱って、演じてくれているのをひしひしと感じるため写真を買いました。イヴサンローランの最近出たばかりのミニクラッチまで買っててぎゃはは笑いしちゃった。キミ様は外資系だよねわかる。ホシ様のパトロンはブルベ骨ストPDグレース強めだと思う。貴方が落としたのは樫澤育斗ですか?それとも星野育斗ですか?いいえ秋沢ガシマですって正直に答えて全員ゲットしたい。歌唱力もレボライからの向上を聴き取れるけど、まだ上達できるよね……!


・月さんがいないとちゃんと先輩ができるじゅさ、試合中にエドガーを指で煽った後ベロ出す瞬間を大阪楽でやっと捉えたので俺はベロを出す男に弱い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!キヨスミです それを抜きにしても初舞台でぽやぽやのやな美れんじと共にダブルスをする丸山じゅさ、めっちゃ先輩感出ててカッコよかった! 動きもキビキビできるしテニスのフォームというか舞台としてのポージングを意識してやってるのか見応えがある。これは文句じゃないんだけどもっと身長が欲しかった、それぐらい丸山じゅさがカッコいい先輩で、他の人間じゃなくて丸山じゅさ、原作の等身により近い丸山じゅさ先輩を見てみたかった。無茶言うな


・やな美れんじ、一緒に観たフォロワーも古のテニミュクオリティを感じて懐かしいと笑ってたので彼は今回が初舞台なんだよ!と一応のフォローを入れはしたがまあ古のテニミュクオリティではある。声が高めで喋り方にもあまり落ち着きを感じられないのが、結果としてじゅさの先輩性のバフになってはいるし「貴方を許さない」発言の子供っぽさを引き立ててもいると思うけど、ぶっちゃけ原作無印からの柳ファンはどう思ってるんでしょうか? 顔はね、間近で拝見したんですが、満場一致で美しい。


・書きかけで終わってる4th関氷と六角緑山公演の感想の両方でもちだの歌唱力が上がらないこと、「最初から及第点を取ってきたキャストだったけど今のところずっとそのままだな、と思う」とガッツリ書いていたけど今回の手塚との道標のくだりでちょっと見直した。ミュージカルなんだからいくら重要キャラかつ人気キャラでも、役者の歌唱力が微妙ならあんなに歌枠あげる必要無いよね。やまだとの声の相性が悪くなかったのはほんとによかった、3代目だか4代目だかの手塚と不二の声の相性は最悪だったので……。


ビスマルクのそれが実際のテニスのフォームに基づいてるのかは判らないけど、彼の動き方は強そうなので好き。途中から優しさ増量したのなんか修正入った? ジークはやっぱり体型に言及するのは褒められたことじゃないとわかっちゃいるけど、原作のある作品だから言わせてもらうとぽちゃなんだよね。初代赤也の元気ちゃんを彷彿とさせる。狂犬チワワっぽさは出てるし動けるから演技とかは満足なんだけど、ぽちゃキャワね……!と思ってしまう。それで言ったらあきさわせんせももーちょっと日焼けできんかったか?


・お頭の両の手の平は太平洋より広いです。お頭というかささたかがPDグレースだと思ってるんだけど(キャラショ発表時もやたらお姉様とかお頭にしては浮浪者っぽさが足りないとか言われてたし)、やす江もあんまりジャージ似合ってないように見えるからもしかしてPDグレースのテニスのお嬢様部発足か? 反対にジャージが似合うなあと思うのは丸山じゅさ。

・立川の客席下りで鮎川イケメン太陽を下から見上げられる座席にいたんだけどイケメン足なっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっが 大阪楽で真っ先に泣く屈指の芸歴男、良さが爆発していたため公演終了即写真を買いに走った。

・ガシマがサーステ以降に習得した投げキッスがLE SSERAFIMと同じ投げ付けていくスタイルだったので多分ガシマはルセラ

 

 


終わりに

いままきくゆ頼むから新テニだけは完走してくれーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!新テニまで卒業しちゃったらいざわニキも泡吹いちゃうだろうけど俺達も泡吹いて倒れちゃうし4thがひよっこリョーマで新がその後のリョーマなのはキャスティングとして理に適ってるよなあ!? 立川観たフォロワーとも「言うてワシら卒業には慣れてるけどいままきくんへの思い入れがありすぎて……」と話した。欲を言えばやまだ塚にも残ってほしいけどあの子アー活志望っぽいけどお前は原作者から直々にラケット貰ったんだから残れからいままきくゆだけでも新テニミュを完走してくれ。頼む。

*1:メルパルクホテルにはテンピュールなどのちょっといい枕がいくらか置いてあるが人気なのかだいたい無い。一度ぐらいゲットしたくて他のフロアを巡るまでしたが無かったのでフロントに電話して枕を見つけて持ってきてもらった。枕への執念……