君の名は「誠実」 / 劇場版『PRINCE OF LEGEND』感想

匿名メッセージ「もし良ければプリレジェ映画本編後、王子の皆がどうしたら幸せになれるか、それぞれの王子に相応しいプリンセスはどのような子なのかについて、すどうさんの考えをお聞きしてみたいです。」

 

1月半ばに「何かネタをくれ」と催促した時にいただいたものでした。PRINCE OF LEGEND(以下プリレジェ)のドラマ版は既にHuluやdTVで配信されていたので視聴済でしたが、劇場版(以下劇レジェ)は貴族降臨の公開に合わせて先日より配信が開始されたため、やっと観ることが叶いました。上記のネタも含め、劇レジェについての感想を残したいと思います。

 

※途中から、3月13日公開の映画『PRINCE OF LEGEND 貴族降臨』及び配信中のゲーム『PRINCE OF LEGEND LOVE♡ROYALE(以下プリロワ)』のネタバレを含みます。

 

 

 

 


プリレジェは、ファンの中にドラマ版至上主義(劇レジェはなかったことにしたい?)層が一部いらっしゃることを知った上での視聴でした。ドラマ版では、ヒロインの果音がバイトで色んな役――王子を愛するお姫様であったり、自分よりも図体のデカい男どもを殴り倒す強い女性であったり――を演じていた時の自分の姿をたまたま見た王子たちが勝手に「理想の女性だ」と勘違いし、次から次へと自分の元へ押し寄せてくる度に「男の妄想、押し付けないでください」とピシャリと言い放ち(果音にとっては)偽りの好意をシャットアウトします。しかし劇場版は、学園長が「伝説の王子選手権」を開催する際に、何故か王子たちからの注目を一身に浴びている果音をダシにして、壁ドンやお姫様抱っこ、デートシチュエーションの披露など、反対に王子たちへ「女の妄想」を押し付ける(再現させる)構図となっています。しかも一部の王子は本当に果音に好意を抱いているため、結果として彼らの純粋な思いを利用し、考えようによっては踏み躙っています*1。反(非?)劇レジェ層の方々が異を唱えているのはまた違う点かもしれませんが、私も劇レジェを実際に観て、ドラマ版と言っていることが逆ではあるな、と感じました。劇場版のテーマとして「胸キュンイズデッド」を掲げながらも、王子たちに女性からの「胸キュン」を集めさせる学園長の実相寺。うーん。

 

 


ドラマ版は、兄弟コンテンツ(と言って差し支えないでしょう)のHiGH&LOWのスピンオフ作品であるTHE WORSTのEPISODE.0(前日譚ドラマ)がそうであったように、劇レジェという映画ありきの構想だったと思います。それはキャラクターのネーミングから紐解くことができます。ヒロインの「果音(カノン)」と最終的に結ばれるのは、セレブ王子こと朱雀「奏」です。奏は劇レジェの王子選手権で果音と触れ合ううちに、自分が本当に彼女のことを好きであると自覚します。伝説の王子となった奏は、選手権開催前に「私、伝説の王子になった人と、お付き合いしようかな」と発言した果音に交際を申し込みますが「約束はしてません」と袖にされ*2、「やっぱり、僕は君のことが、大嫌いだ!」と彼女の目の前で激怒します。豪奢な自宅に帰った奏はピアノの前に座り、パッヘルベルのカノンを弾き始めますが思い浮かぶのは果音との30分デートの時のことばかり。彼の心は乱れに乱れ、ミスタッチから鍵盤をぐちゃりと潰すようにして演奏をやめてしまいます。

カノン。言わずもがな本作のヒロインである果音の直喩です。また「パッヘルベルのカノン」とはあくまでも通称であり(正式な曲名は『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーニ長調』)、これは作曲者名と演奏様式を表す音楽用語の組み合わせによるものです。コンツェルトを協奏曲と訳すように、カノンを日本語に訳すると「追奏曲」。劇レジェの終盤では、果音が2年前のパーティで給仕のバイトをしていた時に奏に助けられたのをきっかけに、ずっと、密かに“奏”を思っていた(≒姿を目で“追”っていた)ことが明かされます。それをヒロインの名前である「カノン(追奏曲)」は表しているのです。このネーミングに関して、製作がこのようなことを一切考えていなかったとしたら、それこそ奏と果音は本当に「運命」の二人ということになります。

 

 


ここで一度、「伝説の王子選手権」の順位の推移と各王子の特徴について再確認します。これは私がやっておきたいだけなので、当記事としては読み飛ばしていただいても問題ありません。


種目は全員参加のもののみをカウントすれば全5競技。「壁ドン」「にらめっこ」の競技が終わった後の暫定順位は下記のとおりです。呼び方が苗字と名前でバラバラなのは気にしないでください。

1 綾小路
2 尊人
3 竜
4 奏
5 ガブリエル
6 光輝
7 翔
8 理一
9 小田島
10 元
11 久遠
12 嵯峨沢
13 日浦
14 TAICHI

壁ドン時点では奏が優勢でしたが、渾身の変顔によりにらめっこ終了時点での順位は綾小路が1位です。チーム3Bは、選手権終了時に嵯峨沢が「モテと王子度は比例しない」と発言するので、モテを取った(変顔に本気を出さない)ためにらめっこで順位が落ちたと考えられます。その中でも翔はにらめっこで勝利するシーンがピックアップされていたので、3Bの中では高めの順位なのではないでしょうか。理一は壁ドンでは健闘しただろうと思いますが、お前に美しさを損ねるための変顔なんてできないよな。うん。


続いて「三人四脚」「椅子取りゲーム」終了時の順位です。

1 尊人
2 竜
3 綾小路
4 ガブリエル
5 奏
6 光輝
7 日浦
8 小田島
9 理一
10 元
11 翔
12 TAICHI
13 久遠
14 嵯峨沢

三人四脚も椅子取りゲームも、身体能力が問われる競技です。その為ヤンキー王子として他校のアタマ張ってた京極兄弟が順当に勝ち上がり、また筋肉生徒会長の綾小路とその側近であるガブリエルが上位をキープしていると考えられます。奏もメイン格なので健闘。チームネクストもダンスやバスケといった身体を活かした特技を持つ王子なので、いい感じに順位を上げてきたと予想できます。3Bはガツガツしたところを見せないという「モテ」を取ったのか軒並み下位、「歩くWikipedia」と称される頭脳派の久遠も順位を落としています。理一も若い子には敵わなかったかランクダウン。


次に「お姫様抱っこ」終了時の順位です。

1 奏
2 綾小路
3 尊人
4 竜
5 光輝
6 理一
7 嵯峨沢
8 ガブリエル
9 日浦
10 小田島
11 翔
12 元
13 TAICHI
14 久遠

最終的に伝説の王子の座を射止める奏が、ここで一旦1位に躍り出ます。「伝説の王子」への執着心が人一倍強い理一や、「女は最高」と豪語する嵯峨沢もランクアップ。よく見ると地味に元と翔の順位が入れ替わっています。元と久遠は次の競技「アクション」で奏をサポートし先に進むよう激励するとおり、奏(さま)が優勝すればそれで良いので、そこまで本気を出していないとも考えられます。それに久遠が好きなのは……。

 

最後に「アクション」終了時の順位です。この時点で上位5位以内に残った王子が、最終競技に進むことができます。

1 尊人
2 奏
3 綾小路
4 竜
5 光輝
~ここまでが最終競技出場権獲得~
6 理一
7 ガブリエル
8 嵯峨沢
9 日浦
10 小田島
11 翔
12 元
13 TAICHI
14 久遠

どう考えても有利なヤンキー王子・兄こと尊人が暫定1位。兄をサポートする(が実のところは本当に果音に惚れている)弟の竜も4位。自慢の筋肉を持つ綾小路、奏や光輝も健闘。人一倍「伝説の王子」の座を欲していた理一は惜しくも6位。ガブリエルも会長(綾小路)をサポートするのが一番の目的なので、脱落しても会長が最終競技へ出場できれば問題無し。日浦と小田島も、光輝を後押しする役割が強いので同様。嵯峨沢が先述の「モテと王子度は比例しない」の発言をするのはこの順位発表時です。久遠は奏のサポーターかつ頭脳プレイヤーなので、これが自然な結果だと思います。

 

 


最終競技の「30分デート」で奏が果音に行なったこと、そして久遠誠一郎について、『貴族降臨』の奏の行動と合わせて考えてみます。

30分デートでそれぞれの王子が行なったことは次のとおりです。綾小路は一緒に生け花、光輝はバスケ(をネクストの二人とプレイするところを見せる)、竜は自宅に招いて自分の親の手料理を一緒に食べる、尊人は河原で一緒にキャッチボール。最後の奏は果音をピアノホールに招き、ビリー・ジョエルの『Just The Way You Are(素顔のままで)』を弾き語ります。「君は今のままでいい、つらい時も君をひとりにしない、素顔のままの君を受け入れよう」。弾き終えた後に果音へ口付けることからも、奏が弾き語りを捧げる相手は彼にとって大切な存在であり、それは最たる愛情表現のひとつであると考えられます。


ここからは『貴族降臨』のネタバレを含みます。キービジュアルなどからも判るとおり、「王子」の一人であった久遠誠一郎はその名前も朱雀奏の第一側近の座も捨て、ラファエルとして「貴族」側へと寝返ります。仔細を説明すると、奏の入浴中に彼のバスローブなどを用意し、制服を片付けようとした久遠はうっかり奏の制服を胸に抱いたまま転寝をしてしまいます。浴室から出た奏は久遠を起こし、恥ずかしい姿を見られ動揺した久遠が落とした携帯の待受(奏の画像)を見てしまった奏は、思わず驚いてしまいます。自分の思いを誰にも知られてはならないと強く思っている久遠は、一番知られたくない奏本人にそれを悟られてしまったと早とちりし*3、後日「第一側近の座を退きます」と書き残して奏の元を去ります。そしてボロボロになって夜道に転がっている久遠(何故?)を拾うのが、ナイトリングNo.1にして「貴族」のトップであるドリーです。

試写会後にふせったーに書いたように、久遠はドリーに(自覚があるかはさておき)少なからず奏の姿を重ねていると思います。また、ヒロインが登場しない『貴族』の世界でも、奏が弾き語りをするシーンがあります。自分の元を去ってしまった誠一郎を思って歌う、ビリー・ジョエルの『Honesty(誠実)』です。「“誠実”とはなんと空しい言葉だ、誰もがあまりにも不誠実だから、でもそれこそが君に求めているものなんだよ」「綺麗な顔をして綺麗事の嘘を吐く人は要らない、僕は信じられる人が欲しい」。奏が心に思い描く誠一郎の姿(回想シーン)を見ながら、私は試写会の2日ともべそべそに泣いていましたが、その時まだ劇レジェを見ていなかった私は奏の真意――久遠がどれほどまで奏に対して「誠実」であったか――を知らなかったのです。

 

久遠は奏に対して恋愛感情を抱いています。劇レジェの序盤の人物相関図で、久遠が奏に向ける矢印は奏や他の王子が果音に向けるそれと同じく「♡」となっています。果音の鼻を明かすために近付いているだけの筈の奏の心の機微を誰よりも、本人よりも早く察知する久遠は、度々奏に「あの女の鼻を明かしてやりたいだけなんだよな」と確認を行ないます。幼い頃からずっと隣で奏を見守り、見つめてきた久遠にとって、果音は目の上のたんこぶ、ともすれば泥棒猫にもなりかねない存在でした。

 

晴れて「伝説の王子」となり、その務めを果たす奏を第二側近である元と共に支えてきた久遠は、奏に「今日の君は、最低だった」と冷酷な評価を下します。対して元は「そんなことありません、奏さまは伝説の王子としてご立派に」とおべんちゃらでもって奏をフォローしますが、久遠はそれを遮り「君(奏)が今何を思っているのか当ててやる」と激昂するのみならず、自分の気持ちを誤魔化そうとする奏の胸倉に掴みかかります。何度突っ撥ねられようとも果音のことが頭から離れない奏の姿を誰よりも近くで見てきた久遠は、突如来訪した綾小路たちにより果音の方も2年間奏のことを思っていた事実を知り(しかし久遠の本心としては「たった」2年間だったかもしれません)、最終的に文字通り奏の背中を突き放すように押します。「行ってこい」「京極尊人に、取られてもいいのか」。久遠は最後まで第一側近として伝説の王子たる「朱雀奏」を見定め、自分の本心を突き放し、親友として「奏」の気持ちを尊重するのです。たとえ自分の思いが成就する可能性が消え去ろうとも。それでもなお躊躇する奏に、最初に「奏!」と発破をかけるのも久遠です。逡巡していた奏にとって最後の一押しとなる写真を持ってきた綾小路に、自分の思いに封をして、奏の代わりに「……ありがとう」と礼を言うのも久遠です。奏が『貴族降臨』で誠一郎を思って歌う「綺麗な顔をして綺麗事の嘘を吐く人は要らない、僕は信じられる人が欲しい」の「信じられる人」とは、まさに奏にとっての誠一郎なのです。「貴族」になり「久遠誠一郎」の名を捨てるまで、彼は愛しい奏に対してどこまでも誠実だったのです。

誠実
[名・形動]私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%AA%A0%E5%AE%9F/

 

プリロワのメインストーリーの中には、久遠が「奏のプリンセス……俺が……」と照れる描写があります。練習中のシンクロ時の会話でも、奏の「僕のプリンセスにはピアノを弾いてあげたい」という発言に対し、久遠は「それなら俺に弾いて……いや、なんでもない」と返します。また、久遠は個別ストーリーの中でヒロインへ「惜しかったな。(奏の)プリンセスになるチャンスだったのに」と声をかけます。メインストの描写を受け、この言葉には自嘲の意味もあるのかなと私は捉えています。劇レジェではっきりとハート型の矢印を向けていたとおり、久遠がなりたかったのは奏のプリンセスあるいは「果音」、厳密には奏に思われ隣に立つ何者かだったのです。しかしその意味では既に久遠の思いは成就しています。確かに驚きはしたけれど、奏は久遠が想像以上に自分のことを思っていることを知ってなお、「弾き語り」という彼なりの最大限の愛情表現でもって誠一郎のことを想うのです。残念ながらそのメロディは久遠には届かないし、久遠が真に望む形ではないかもしれない。それでも奏は、果音の手を握った反対の手で、誠一郎の手を取ってくれるのではないでしょうか。それじゃダメかな、久遠。

 

 


本題(それぞれの王子の幸せについて)に入る前に、『貴族降臨』がさり気無いところでプリロワの台詞を回収している話をします。メインストか個別ストかは忘れましたが、奏の第二側近である鏑木元はヒロインへ「奏さまとあなたでは月とスッポン。王子とミジンコです」と言います。月とスッポン。貴族降臨をご覧になった方は覚えているでしょうか、その言葉が出てくるシーンを。ドリーを讃え奏を蔑むラファエルは「月とスッポン」という諺を用い、元は「勿論奏さまが月ですよね」と対抗します。ラファエルは「ドリー様が月に決まっているだろう」と返し、元はPVでも流れているとおり、誠一郎さんもといラファエルへ「貴方を軽蔑します」と告げます。元がプリロワでこの諺を使った時、先に貴族から見ていた私はうわーーーーーーーーーー!!!!!となってとりあえずスクショを撮りました。さて本題に入りましょうか。

 

 

 

 


「もし良ければプリレジェ映画本編後、王子の皆がどうしたら幸せになれるか、それぞれの王子に相応しいプリンセスはどのような子なのかについて、すどうさんの考えをお聞きしてみたいです。」

全王子は難しいので、私が考えられそうな王子のみとさせていただきます。

 

・朱雀奏

本編で晴れて果音と恋仲となり、『貴族降臨』のラストでもその仲は続いていることが示されます。よって奏については特に語ることはないです。


・久遠誠一郎

果たして久遠は「王子」になりたかったのか?貴族でもドリーにキュンと来ているしこいつは女性に対して恋愛感情を抱くことがあるのか?という問いから始めると長くなるので、プリロワのイベストやカドストではヒロインと恋仲である描写から「自分が王子でもOK」ということにして、「相応しいプリンセス」について考えます。奏やドリーに惹かれていることから、彼が相手に求めるものは「気高さ」や「とうとさ(尊、貴の両方)」だと思います。確固たるポリシー(それは決して「悪」ではなく高潔なもの)を持ち、それに基づいて実際に行動ができる人間。あとは右腕やブレーンの立場に収まりがちなので、自分が何かを教え、サポートできる関係だと久遠の欲求も満たされるのではないでしょうか。個人的な好みで言えば年下の女の子とくっついてほしいです。

久遠にとっての幸せは、自分の本当の思いに気付かれることなく、久遠(きゅうえん*4)に奏の傍に居られることだったと思います。しかし奏に気付かれてしまった(と思っている)今、彼の幸せは一体何処にあるのでしょうか。貴族降臨の終盤で奏に「待ってるから!」、元に「第一側近の座は、空けておきますから!」と叫ばれても、涙を拭いながらその場を去る久遠なのかラファエルなのか分からない「彼」は、その後のクラブNOBLEのシーンで姿を確認できません。どこ行っちゃったの、久遠。帰っておいで、久遠。


・鏑木元

彼は自分が付き従うに相応しい存在を求めた結果奏の側近となっているのですが、久遠とは違い相手が必ずしも敬える立場の存在でなくとも自分の「プリンセス」として誰かを選び取るような気がします。プリロワをプレイしたら若干腹黒キャラなので驚きました。同じく若干腹黒な子か、逆に彼を振り回すようなプリンセスとくっついたら個人的には面白いなと感じます。

彼の幸せも奏さまのお傍に居ることですが、同時に第一側近の座を奪わんと久遠と火花を散らすのも彼にとって必要なことだと思います。朱雀奏の第二側近としての「鏑木元」を形作ったのは、彼より先にうんと長いこと側近として付き従っていた久遠です。久遠の姿から側近とはこうあるものということを学んだ元にとって、久遠は師であり越えるべき壁でもあります。現に久遠が去った今、彼は空いた第一側近の座に就かず、奏と共に彼の帰りを待っています。久遠……久遠……


・綾小路葵

彼が相手の名前を覚えた時、そして覚えるに至ったエピソードや理由が彼にとって不要になっても彼女の名前を忘れなかった時、その子が彼のプリンセスとなるのでしょう。先述の注釈の中でも述べましたが、この作品でヒロインである「成瀬果音」を一番に「トロフィー」扱いしているのは綾小路です(もっとも本人にその自覚は無いでしょうが、しかしだからこそタチが悪いとも考えられます)。彼女を巡って奏と争う必要がなくなった時、綾小路は好意を抱いていた筈の果音の名前を忘れかけます。いずれ完全に忘れることでしょう。しかしプリレジェはキャラクター設計が上手いのか、あるいはそういう点から目を逸らさせる工夫を凝らしているのか、彼が「そういうキャラクター」だと知っても負の感情は湧きません。彼が名前を忘れないプリンセス。どんな人なのでしょうか。私も知りたいです。

彼の幸せはなんだろう。かつては朱雀奏を打倒し自分が一番だと証明することだったと思いますが、貴族降臨で学園のピンチを知り急遽帰ってきた奏に対し「私の思いを受け取ってくれたのですね」みたいな勘違いスピリチュアル発言をしていたとおり、奏は既に「打倒するもの」ではなくなっているのではないでしょうか。


・京極尊人

貴族降臨でもあんなことになってるし尊人が惚れた女がプリンセス! 以上! ……と言いたいところですが、彼の(勉学的な)バカさをフォローできる、かつ一歩引いたプリンセスが理想かなあと思います。ちょっと待って……それってほぼ竜ちゃんでは……?(ここで京極兄弟のテーマを流す)(ウォウォウォウウォウ♪)それか肝っ玉母ちゃん系。彼は絵に描いたような家族の団欒と安定した生活があれば、勝手に幸せになると思います。


・京極竜

30分デートでいきなり果音を自宅に招いたことから、束縛はしなさそうだけども実は独占欲が強いのでは?と感じました。好きになるタイプは、ドラマ版を見ていると兄貴同様「好きになった女がタイプ」っぽいので竜ちゃんが惚れた女がプリンセス! 以上!

彼の幸せは兄貴の幸せ、そしてその兄貴が曲がった道に進まないことだと思います。兄貴が曲がった道に進んだ(と彼が感じた)時、彼もまた不貞腐れあまりよくない精神状態になる様子が貴族で見られるため。


・天堂光輝

劇レジェの最後で本人が「できれば、ツンデレ系の年上で?」と言っているのでそういう女の子と運命的な出会いができるといいね。光輝は貴族降臨で最終的になんとかなるので、奏と同じくあんまり言及できることはないです。ルイはなんとかなるのにどうしてラファエルはなんとかならないの? 久遠……


・結城理一

こいつにプリンセスは必要なのか? 理一は「伝説の王子」になるためにプリンセス(女性)を立てているに過ぎないので(そういう点では嵯峨沢たち3Bとは真逆である)、とりあえず頑張って4代目伝説の王子を目指してくれ。強いて挙げるなら、彼と同量の熱意で美しさの高みを目指せる女性でしょうか。


・嵯峨沢ハル

「果音ー! 幸せになー!」と最後に叫んでいるように、妹のように大事な果音が「自分で選んだ」王子様と幸せになり、自分もまた大好きな女たちに囲まれて幸せになるのが彼にとってのハッピーエンドだと思います。あと久遠久遠言っていますが、テニプリの千石(作中屈指の女好き)が好きなので嵯峨沢のことも例に漏れなく好きです。

ただし嵯峨沢の「女好き」は「モテ(=女から自分への好意)」あっての女好きのような気もします。でも嵯峨沢が「女は最高ーーーーー!」って叫ぶ度に私は画面の前で拍手してしまう(※比喩ではなく本当に手を叩いています)。女は最高って思ってくれる男は最高。

 

 

 

 


長くなりましたが以上です。いただいたネタのご希望に添えたかは不明ですが、劇レジェを貴族に備えて、ではなく「絶対見よう」と思うきっかけを与えて下さりありがとうございました。

 

「王子」では久遠が好きですが「貴族」では歩夢(とサンマルチノ組)が好きなのでプリロワさん……信虎ちゃんだけじゃなくて歩夢くんのこともプリロワ時空の中で幸せにしてください……お願いします……私は歩夢の姫*5になって育て営業されたいんだ……シャンパンタワー積み上げられるようお財布開けて待ってるね……

*1:これに関しては果音サイドからの反論も可能であり、果音は「(トロフィーとしての「成瀬果音」を求め争うことにより)自分たちの一番を決めたかっただけ。私はただの口実」と口にします。実際に奏をライバル視していた綾小路は、エンドロールで好きだった筈の果音の名前をほぼ忘れ(=奏と争う必要がなくなったことに伴う「成瀬果音」というトロフィーへの興味の喪失)、その前に劇中でも「王子選手権で燃え尽きましたから」とガブリエルに話しています。

*2:確かに「しよう“かな”」と言っているので約束はしていない

*3:奏は「少し驚いたけどそれで誠一郎を傷つけるつもりはなかったんだ」という旨の発言をするので、久遠のそれが「恋愛感情」だとまでは思い至ってないと考えることもできます

*4:プリロワの彼の必殺技より

*5:「プリンセス」ではなく、ホスト業界では女性、特に自分を担当としてくれる人のことを「姫」と呼びます